怒濤、圧倒、神がかり曲!伊福部昭のリトミカ・オスティナータ

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ようこそ、ようこそ、ようこそ、
クラシック&ゲームBGM好きの中村卓矢です。

激しいロックやかっこいいゲーム音楽はお好きですか?
刻まれるリズムとあの会場がひとつになる一糸まとわぬ陶酔感、宿敵との決戦を盛り上げ、心や本能を掻き立てる曲(ラスボスBGM)たち。

でもそんなロックやゲームBGMですら裸足で逃げ出す様な曲がクラシック音楽あるのです。

今回は、そんな筆舌に尽くしがたいような圧倒的な音楽
ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ」の話を分かち合いたいと思います。

血が騒ぐ芸術、大御所伊福部昭の「ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ」

伊福部昭は、クラシック音楽・映画音楽・音楽教育で頂点を極めた日本を代表する作曲家である。
祖父の代までは60代以上も続く神官家系、少年時代はアイヌ文化が残る北海道で過ごす。
芸術はその民族の特殊性を通って、共通の人間性の到達しなければならない
「大楽必易(優れた音楽はシンプルでわかりやすい)」という信念を持ち、
原初の血が騒ぐような日本的、北の大地を思い起こさせるアジア・ユーラシア的な曲をつくっていった。

そんな伊福部昭が作った「ピアノと管弦楽の為のリトミカ・オスティナータ」は
どんな背景でつくられたのだろうか?

中国に遊びにいった時、お堂の四方の壁の全面に小さな仏像がびっちりとはめ込められた異様な迫力に感動し、その体験をヒントにつくられた。

作曲者曰く、レオナルド・ダ・ヴィンチの「力は制限によって生まれ、自由によって滅ぶ」という言葉に憧れがあり、作曲にあたり3つの制限を設けアジア的な生命力の喚起を試みたのだった。

その3つの制限とは、

1. 日本の伝統音楽の律動は普通は偶数で行われるが、韻文(俳句や短歌など)のように5・7といった奇数を主軸の律動(リズム)で。
2. 旋律は民族音楽によくつかわれる六音音階で。
3. 執拗に繰り返して、集合無意識に働きかける

この3つの制限を統合してできたのが、

伊福部昭の最高傑作の一翼と名高い、
リトミカ・オスティータ、即ち「執拗に反復する律動的な音楽」という意味を持つ作品が完成したのだった。
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まとめ 執拗に激しく!民族から集合的無意識(ルーツ)へ至り一巡するトランスな曲

執拗に繰り返される、怒濤の変拍子のリズムと旋律!
ロックやかっこいいゲームの戦闘音楽だって裸足で逃げ出す程の、神がかった荒々しさとかっこよさッ!
無数の小さなものが大を圧倒していく様ァっ!!
凄まじい重力を持ち、聴く者の血を騒がせ、陶酔と原初(ルーツ)の彼方の向こう側へ誘ってしまうぅぅっ!

これほど、民族の血を震わせ、人類共通の原初の世界を顕在化されるような曲があろうか?
いいや!ナイね!!

まさに、伊福部の信条を体現した
アジア民族から人類共通の深層心理へ到達する曲といえよう。

独断と偏見に基づく劇場型感想

※若杉弘指揮、読売日本交響楽団1971年演奏(CD現代日本の音楽名盤選5)に沿っての感想です。
※時間はトラック(動画と同じ)に沿って書いています。

0:00頃
流れる曇天。雲の隙間から所々射す光。嵐の前の静けさに包まれた大地。
波ひとつない広大なる湖。

0:23頃
その湖の上にて。自然へ、カムイへ・・・八百万の神々へ捧げる呪術的な儀式が今始まる。
最初はゆっくりと神秘的な美しさをもった生命の律動が始まる。
規則正しい精密な原子時計のような律動。
だが、その律動は、次第に命を燃焼されるかのように激しさを増していく。

ガンガンガンッッ、
ギャンギャンギャンッ

と怒濤な勢いで何度も・・・・何度も、何度もっ!!!打ち付けてくる。
これでもかと執拗に執拗にっ!「ダダダダダ」と金槌で釘を打ち込むかのごとく語りかける。
我々の血・・・全身の細胞を一片たりとも残さず震えさせるっ・・・・。そして潜在意識とでもいうのか。その最深部に眠ると言われている集合無意識へ。

遥か太古・・・。天地開闢の時より刻まれたものを呼び起こすかのように!!
人間の深層へのダイブが始まる。
時計の逆回りが始まり過去へと遡り潜る。

03:30頃
過去へ、さらに過去へ。
底へ底へ。
暴力的な激しさの後、呼びこされ潜り、開放されるは太古から受け継がれた民族の
悠久の営みの記憶。

早送りさえた映像のように、空と星と太陽が目まぐるしく動き、
その中で徐々に変形していく果てしない大地。
だが、これはまだ第1段階の過ぎない。

09:18頃
更に過去へ、更に過去へ潜っていく。
蟻の大群のように、徐々に登場するは・・・

09:58頃
八百万の神々。
洪水や火山の噴火のように溢れ出し、曼荼羅の絵のように、全方位を囲み、びっちりと姿を表す。
神々の神話の世界のようだ。

12:48
さらに潜る。潜る。民族の歴史よりも神話よりもさらに奥。集合的無意識のアカシックコードのゼロページ・・・最深部は近い。
全ての起源。天地開闢の時。
そこはまるで宇宙!!!だだっ広い宇宙空間に放り出されてしまったのような感覚だっ。

暗黒の宇宙の中、原子のような粒子のようなものが洪水の様に、渦巻き通り過ぎてゆく。
高密度エネルギー体のようなものが全方向から乱れ打ちの如くやってきて、荒々しくぶつかり弾け合う。

圧倒っ・・・・圧倒的圧倒っ・・・・!!
言葉では語れない、もう何がなんなのかわからない。陶酔・・・陶酔の向こう側!
いや、もっとすごい。
トランス・・・そうっ!トランスした状態!!
そうして集合的無意識の最深部へ到達したのだった。

14:05頃
これ以上潜れないところまで潜った。
そこにあるのは虚無。
闇と朧げな光、それを反射する水面のようなもの・・・。

虚無という起源、未踏の境地をゆっくり漂う。水の中にいるかのように。
時間が止まったのように。

16:58頃
時は再び動き出す。虚無の水面にいつのまにか出現した赤い花のつぼみ。
それがゆっくりと開花し始める。
平らな水面が沸き立ち光始める。

そうしてやってくる。あれが・・・。やってくる・・・・。
人類を陶酔の向こう側へ、原初の彼方へトランスさせてしまうあの律動が・・・・。
ガンガンガンッッ、
ギャンギャンギャンッ

美しく、神秘的で、幾学的で、民族的生命力溢れるあの怒濤の律動がっ!!!
何度も何度も何度も、執拗にっ!執拗にっ!!、執拗っっ!!!

19:32頃
火山が何度も噴火するかの如く、いやそれ以上の速さで、現世に向けて時が加速してるっ!!
全ての起源を超え、神話を超え、民族の歴史を超え、現在の現世に。
だが、それでは止まらぬっ止まらないのだっっ!時は何度も何度も加速し続ける。

20:37
現世を超えついには未来まで。
宇宙の法則が乱れる程の神がかったパワーと速さ。
なんなんだ、一体なんなんだ、もうそれはわかない。

20:49頃
ッッッ!刹那の静寂!全てが止まったこの瞬間。
訪れるカオスの世界。
そして世界は一巡し、フィナーレを迎える。

この曲を聞いているとそんな世界が浮かんでくる。

とにかく、筆舌に尽くし難く、壮大で高密度で、
神がかった曲といえる!!
自分にとっては、離れずにはいられない、
音の洪水にその身を委ねる快感を覚えてしまうような、まるでブラックホールみたいな曲だ。

 

BGMとして使うならば

BGMとして使うならば、神への捧げる曲、民族や人類、果ては世界といった壮大過ぎる起源に迫る曲と言えるだろう。

規模があまりにも壮大すぎて何がなんだかわからなくなってしまうあの感覚。既存の作品で例えるならば、
「ジョジョの奇妙な冒険第6部」の世界が一巡してしまうメイド・イン・ヘブン。
闘いの規模がひとつの洞窟から無数の銀河レベルまでデカくなる「グレンラガン」。

法則や原則を超越する時、
深層心理のテーマ曲として、
トランス状態になりたい時、
生命力を喚起したい時、
0から1が生まれる時、
自然が作り出した芸術の経過を見るとき、
天地創造する時などなど

こんな風な時に使うといいかもしれない。

 

お奨め

お奨め演奏は、やはり若杉弘指揮、読売日本交響楽団1971年演奏(CD現代日本の音楽名盤選5)。リトミカの名盤です。

この曲が気に入った方は、

同じ伊福部の作品からなら、
ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲
ラウダ・コンチェルタータ

がお奨めです。

他にも、

スティーブ・ライヒの楽曲
松村禎三の交響曲
芥川也寸志のエローラ交響曲

とか、お奨めです。

深層心理へ至る神がかったトランスな曲をどうぞご堪能下さい。

 

追記(一緒に聴きに行きませんか?)

今年の7月10日に伊福部昭の演奏会がミューザ川崎であります。
 
もし、よかったら一緒に聴きに行き、ちょっとお茶でもしながら
伊福部音楽についてお話でもしませんか?
 
コンタクトは以下のいずれかから、どうぞ!
 

 

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「世界を痛快一変する」こと信条に企てを実行するKAIDENDOの創始者。 強みは、人と組織の持つ世界観を芸術化できること。 その強みを活かし、人や組織の持つ理念を芸術可視化するサービス「RINE」運営。 現在は、ライフログサービスYATAABA開発中。

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