重々しく轟く太古の祭り、伊福部昭の「日本組曲」

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ようこそ、ようこそ、ようこそ!クラシック&ゲーム音楽好きの中村卓矢です。

クラシック音楽というと西洋の作品ばかりが有名かもしれませんが、
実は日本にも西洋に劣らない作品がたくさんあります。
今回はそんな作品の日本人の心をより強く刺激する一押しのっ!
重低音が効いた日本の祭りをテーマにした曲、伊福部昭の「日本組曲」のお話を分かち合いたいと思います。

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日本を代表する作曲家 伊福部昭がつくった「管弦楽のための日本組曲」

作曲者はどんな人?

ゴジラのBGMで有名な伊福部昭。でもそれはほんの一側面に過ぎないということを強調しておきたい!
伊福部昭は、日本の純音楽・映画音楽・音楽教育においてなくてはならない足跡を残していった日本を
代表する作曲家です。
「芸術はその民族の特殊性を通過して共通の人間性の到達しなければならない」
「大楽必易(優れた音楽はわかりやすいという意味)」という言葉を信条に力強く民族的な作品を残していきました。

そんな彼がつくった「管弦楽のための日本組曲」とはいかにして生まれたのか?

当時19歳、作曲家人生の始まりとなった曲。
伊福部の友人の三浦淳史が当時の有名なプロピアニスト、ジョージ・コープランドと手紙のやり取りで「友人に作曲家がいますから曲を送りますよ」と返事し、伊福部に対して「曲を贈るって約束しちゃったぜ」「君が曲をかかないと国際問題になってしまうからね」と急かされたことをキッカケに作られました。

伊福部は「外国は組曲に踊りの曲を使っているから、日本なら盆踊りかな」と考え、少年時代や学生時代での祭りの体験、
日本の伝統的なものを書き綴ってできたのが、作曲家伊福部の処女作・ピアノ組曲です。

そして半世紀以上のときを経て、ピアノ組曲を管弦楽に編曲したのがこの
管弦楽のための日本組曲」なのです。

まとめ 重く低く轟く太古の祭り

日本の伝統行事「盆踊」「七夕」「演伶(ながし)」「佞武多(ねぶた)」がテーマとなっていて、
祭り囃子の笛がフルートとヴァイオリン、太鼓がオーケストラ全体で表現され、土俗的な和風を醸し出す。

まるで村を挙げての過激な祭りをしているみたいに、
ズシリと重く・分厚く・過激に轟くお祭りの曲になっている。日本人なら燃えずにはいられない。
聞いていると、ついつい足踏みもしたくなってしまう魔力を持っている。

独断と偏見に基づく感想

※井上道義指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団1991年演奏にそって感想を書いていきます。
※時間は動画とあわせてます。

伝統的で土俗的な力強い日本の世界。
特に1楽章「盆踊」と「佞武多(ねぶた)」がアラブっててかっこよく、聴き応えがある。

第1楽章「盆踊」

0:00、盆踊が始まった。古き日本的な音が重低音を利かして鳴り響く。
その様は楽しい盆踊りではなく、火を囲み、村を挙げて「こっちは命がけでやってんだ!」といわんばかりに荒々しく盛り上がる暗黒盆踊。

3:18頃からトロンボーンさん大暴れ。「ブ↑ボボボボボ↓、ブ↑ボボボボボ↓」と波がどんどん大きくなっていき鬼気迫った感じで終わる。

第2楽章「七夕」

04:10頃からさっきの命懸け盆踊りから抜け出し、静かで暗い場所へ。夜空と河に流れる灯篭がゆっくり流れ、
何かに想いを馳せるようにしみじみとした美しい世界。心に滲みる。痛み入る。

第3楽章「演伶」

0:00優雅さを感じる祭りの出しもの。

第4楽章「佞武多(ねぶた)」

少ないテーマが展開され、どんどん盛り上がっていく。さしずめ日本伝統祭り版のボレロ

04:40頃、夜の闇につつまれた道、遠くからボウっと明るい何かがやってくる。それは大きな神輿と灯篭の行列。
さしずめそれは百鬼夜行の先祖の魂&神々ヴァージョン!
最初は静かにだが、近づくにつれてどんどん大きくなっていく。

08:53頃、神々が練り歩くかのように、優雅なんだけど豪快に行進してズンドコズンドコ盛り上がっていくが、同時に何かを懐かしむような哀しさも胸にこみ上げて来る。そこがまた美しくかっこいい!
そして最後は、神々の行進の強烈なエネルギーで道の外に吹っ飛ばされてフィナーレを迎える。

この日本組曲を聞いているとそんな世界が浮かんで来る。

BGMとして使うならば

BGMとして使うならば、やはり日本の伝統的祭りのシーン。
もしくは千と千尋のようなノスタルジックな木造建築が並ぶ温泉街や宿街とかのテーマにもいい。
暗闇の中に朧げに照らす灯篭や蝋燭の火やガス灯がある場所にもいけそうだ。
神々や妖しといった百鬼夜行のテーマにも使えるだろう。

日常で使うならば、
本能沸き立つ夏の祭りへ赴くとき、夜道を歩くとき
先祖や古き日本に思いを馳せるときに使ってみるとよさそうです。

この曲が気に入ったらこれもお奨め

同じく伊福部昭の作品からなら「日本狂詩曲
和田薫の
「海響」
「鬼神」
「民舞組曲」
大栗裕の「大阪俗謡の幻想曲」

などは、日本組曲のように
伝統的な日本の祭りの響きがしつつも、エンタメ性もあるのでお奨めです。

日本の伝統的な祭りの世界観を持つオーケストラを存分にご堪能してみてはいかがでしょうか?

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「世界を痛快一変する」こと信条に企てを実行するKAIDENDOの創始者。 強みは、人と組織の持つ世界観を芸術化できること。 その強みを活かし、人や組織の持つ理念を芸術可視化するサービス「RINE」運営。 現在は、ライフログサービスYATAABA開発中。

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