これぞ東洋版ボレロ!映画羅生門、真砂の証言の場面のボレロ

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ようこそ、ようこそ、ようこそ!
クラシック&ゲーム音楽好きの中村です。

ラヴェルのボレロは知っていますか?フィギュアスケートや映画(交渉人真下正義)やアニメ(デジモン)とかのBGMとしても使われていました。
そう、あの単一主題と一定のリズムでどんどん音が増えて盛り上がっていくあの曲です。私もあの曲は大好きです。

今回は、そんなボレロの日本版とも言える曲、黒澤明の映画「羅生門」で流れる「真砂の証言の場面のボレロ」についてお話を分かち合いと思います。

日本映画黄金期の最重要作曲家、早坂文雄がつくった「真砂の証言の場面のボレロ」

作曲者はどんな人?
早坂文雄は日本人の作曲家だ。黒澤明の「七人の侍」「羅生門」などの曲をつくり、日本映画黄金期の映画音楽における最重要作曲家だった。

映画音楽だけでなく純音楽においても(むしろこっちがメイン)汎東洋的な曲を追求したり革新的な曲をつくり、次世代の大物作曲家である武満徹や佐藤勝などにも大きな影響を与えていった。
結核に苦しみ41歳という若さで亡くなった。

そんな彼がつくった映画音楽の一つである「真砂の証言の場面のボレロ」とはどんなものか?

世界に黒澤明の名を知らしめた名作「羅生門」。映像と音楽の具体的なイメージを持つ黒澤明は真砂が証言するシーンの音楽は「ボレロみたいな音楽でおねがい」と注文。

でも、これは作曲者にとってはけっこう難しい。なんせ、似て非なるものをつくらなければならいのだから。
難しい注文だったか、早坂はその注文を見事になしとげ、

強烈な引き込み感のある「夫の蔑みの目に悶え苦しむ状況を証言する妻」のシーンにフィットした東洋的なボレロができあがったのである。

めくるめく情熱的なラヴェルのボレロとは違い、西洋にはない東洋的でしっとりとした古風な響き。
ボレロの小太鼓(スネアドラム)の

「タンッ、タタタタッ タタタタッタン、タッ、タタタタッ、タタタタタタタタタ」
みたいなリズムと共に、古風にじめじめドロドロと、
うねりうなるながらもどんどん陶酔していく音楽になっている。

そして最後はその陶酔から醒めたかのように、音はだんだん弱まって終わる。

独断と偏見に基づく感想

※本名徹次指揮、日本フィルハーモニー交響楽団1999年演奏(CD早坂文雄の芸術 管弦楽作品集)沿っての感想です。


この曲からみえてくるもの・・・それは、雨、怨み、疑惑、蔑み、罪悪感、悶え苦しむといった暗いものが浮かんで来る。

0:00頃、白い蔑みの目を向けられていることに気づく。
「えっ、何でそんな目でみるの?やめてよね」

02:55頃「え、いや・・・ちょ」と心がざわつき始める。
「違う、違うんだっ・・・・」

04:40頃「やめろぉ・・・みるんじゃぁないぃ・・・・そんな目で、俺を見るなぁーっ!」と悶え苦しみ、その感情がどんどん増幅し最高潮に達していく。そして、事件発生。蔑みの目で見ていた人物を殺してしまう。

06:41、消してきれないぬぐいきれないドロドロした感情の胸に、犯人は霧の中へ去っていき、場面は一旦幕を閉じる。

この曲を聞いているとそんな情景が浮かんでくる。

こんなとき使えそう

この曲はどんな用途で使えるだろうか?
男女が絡むジメっとした感情や、怨みに身を燃やすサスペンスや場面で使えそうだ。

あとはミステリアスな幻を追いかけることに夢中になるが結局何もつかめないままで終わる場面でも使えそうだ。

既存のもので例えるならば、
「ルパンVS複製人間」でルパンがマモーの島で輪っかを回す女の子(ジョルジョ・デ・キリコ)を追いかけるああゆうミステリアスで神秘的なものを追いかけるシチュエーションで。
砂漠でみたオアシスの蜃気楼・・・。

場面もより東洋的なものだったらよりマッチするかもしれない。

あと正反対な使い方だが、
気持ちがブルーな時や、雨の中、日陰の多い森や日本家屋できくと、けっこうリラックスできる曲でもある。

 

この曲が気に入ったら、この曲もお奨め

早坂文雄には、これとは別にクールに盛り上がる日本的ボレロな「序曲ニ調」なるものがあります。

あと、深井四郎が作曲した「ジャワの唄声」、
菅原明朗「明石海峡」では、今回の羅生門ボレロに近い、しっとりとじめじめしたアジア的なボレロを楽しむことができます。

西洋にはない東洋版のボレロを存分で楽しみあれ。

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「世界を痛快一変する」こと信条に企てを実行するKAIDENDOの創始者。 強みは、人と組織の持つ世界観を芸術化できること。 その強みを活かし、人や組織の持つ理念を芸術可視化するサービス「RINE」運営。 現在は、ライフログサービスYATAABA開発中。

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