情熱的な大正浪曼クラシック! 貴志康一の「日本スケッチ」

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ようこそ、ようこそ、ようこそ!
クラシック&ゲーム音楽好きの中村卓矢です。

大正ロマンのような
和と洋が混じりあった情緒たっぷりな情熱的音楽はお好きですか?

イメージで例えるならば、
自由で優雅で活気溢れる日本のお花見やお祭り。

既存の音楽で例えるならば、
山田耕筰や滝廉太郎。そしてハチャトゥリアン。

といった感じです。

今回はそんな貴志康一の交響組曲「日本スケッチ」の話を分かち合いたいと思います。

漫画の様な傑物ぶり 貴志康一

作曲者はどんな人?

貴志康一(1909~1937)は日本産のクラシック音楽における草分け的存在の内の一人である。
その作風は和洋折衷、情緒たっぷりで情熱的。有名作曲家に例えるならば、日本版ハチャトゥリアン。

大阪の裕福で教養豊かな家に生まれ、誰もが羨むような環境の中でヴァイオリンを
極めていたが、当時の日本での音楽家の地位はまだまだ低かったので留学。

17歳のときにジュネーブに留学で音楽を学び、19歳で主席で卒業し帰国。
21歳のときには、超有名な作曲家のヒンデミットと巨匠指揮者フルトヴェングラーに師事、

さらには、25歳の時はベルリン・フィルの自作を含む多数の曲を指揮する快挙を成し遂げ、帰国後は、NHK交響楽団で第9でデビューを果たした。

実家はお金持ち、イケメン、高い社交性、天才、華麗なる実績という傑物ぶり。
だが、まだまだこれからってときに病に倒れしまい、1937年28歳の若さでこの世を去ってしまう。実に惜しいっ!
長生きしていたら、もっとすごい作曲家になっていたかもしれない。

まるで漫画やドラマに登場する天才の様な人生だった。

どんな背景で作られた?

さて、交響組曲「日本スケッチ」はどんな背景でつくられたのか?

詳細な作曲年は不明だが、おそらくベルリンにいた21歳~25歳の間(1930~1934)。
フルトヴェングラーとヒンデミットに師事をして、作曲と指揮を極めていた時期だ。

当時のドイツはナチスが台頭し始め、多くのユダヤ系文化人がいなくなり始めていた。
貴志はヨーロッパの人々に日本の文化を紹介したいと考え、日本的情緒溢れる曲を
立て続けに作曲、その内のひとつがこの「日本スケッチ」なのである。

初演されたヨーロッパでは「スラブ民族もうらやむ程の情熱」と評されたらしい。

 

まとめ 和洋折衷!大正ロマン曲

日本的情緒と西洋のオーケストラが融合した和洋折衷の曲
例えるならばレトロで懐かしい大正浪曼のようなあの感じだ。
東洋的な美しいメロディ、なめらかさや気品、そしてどこか無邪気ないたずら心が見えてくる情熱的な曲になっている!

I.市場
活気のある東洋の市場や下町の情景。そしてそこから人がいなくなったのか、疲れたのか
気だるくなる終業間際の風景。

Ⅱ.夜曲
演歌・歌謡曲の様な切なく何か憂鬱な感じだ。
例えるならば、夕方の様なあのやるせない感じが日本的なメロディーで奏でられる。

Ⅲ.面
おどけた感じの楽章だ。作者(貴志)の面に対する印象が描かれている。

Ⅳ.祭り
素朴なお祭り。軽やかにしなやかに軽快に、そして無邪気にお祭りを楽しんでいる。

どの楽章も素直な日本的美しさが素直に表現されており、親しみやすい!

個人的にですが、
第1楽章の0:49~01:30のコミカルな盛り上がり、
第4楽章な軽快でエネルギッシュな楽章がお奨め!

独断と偏見に基づく劇場型感想(交響組曲「日本のスケッチ」)

※小松一彦指揮、東京都交響楽団1990年演奏(CD貴志康一 生誕80周年記念コンサート)にそってのレビューです。
※時間はそれぞれの動画(各楽章)に沿っています。

I.市場


0:00
時は大正・季節は春!帝冠様式の建物、洋館の建物、和の建物が立ち並ぶある都会。
咲き乱れる桜吹雪。和装の人やハイカラな服装の人もいる。
そしてその一角にある市場。

00:49頃
店には港から運ばれた荷物が並んでいる。食べものから、流行モノ、海外の珍しい品者まで。
店主の掛け声、交渉をする客、大荷物を運んでいる人、通行人、桜吹雪に帽子を抱えた紳士、忙しそうな人・・・
様々な人々が行き来しする、賑やかな場所だ。

01:53頃
時は過ぎ、人が少なくなった時間。お昼時を過ぎた頃。
人もだいぶ履けたし、お昼ごはんも食べた。
おまけに天気もよく日なたが気持ち。ポカポカする。
ああ、優雅なひと時。
・・・・コクッ。
ああ、なんか疲れちゃったしちょっと眠い。のどかでけだるい時間がやってきた。
コクっ・・・コックリ・・・

05:53頃

ビクンッ!
船こいでたら頭をぶつけてしまった。
そうして再び、押し寄せてく人波の喧騒。市場に活気が
戻り始めている。
寝ぼけている場合じゃない、仕事だ、仕事だ。

Ⅱ.夜曲

0:00頃
宵闇が迫って来る。
恋に落ちた男女。
一人は平民の男性。
一人は華族の女性。
だが、その前にたちはばかるのは平民と華族という身分の違い。
世間の常識
周囲からの反対・・・。

その前に翻弄される切ない恋の物語・・・。

Ⅲ.面

04:55頃
どこかおどけているが豊かな表情をしたお面の数々。
お面には神事にも使われているので、魂がこもっているといわれている。
「おどかしてやろう」「いたずらしてやろう」
そんな面のいたずら心が聞こえてきそうだ。

Ⅳ.祭り

0:00頃
今日は祭りの日。
小遣いを持ち出し、ワクワクしながら家から飛び出し、待ち合わせた子供達。
「キコキコキコキコ」「チリンチリン」「シャーーーーーー」
ともだちたちと一緒に祭りのある神社まで
風を切りながら、チャリで駆け抜ける。
時にはふざけながら、時には追いかけっこしながら。

村を抜け、向かい風の土手を走り、田んぼを抜けて林に囲まれた神社へと向かう。

03:31頃
神社の前についた。ここからは歩きだ。本殿前(祭り会場まで)にいくには、
この長い通路と階段を登らないといけない。
赤く染まった山々。紅葉を舞い散る神秘的な雰囲気の中階段を上っていく。
階段があんまり長いのでちょっと疲れる。

05:06
長く長~~~く感じた階段も終わりが近づいてきた。
心がはやる、はやる。
祭り会場はすぐそこだ。期待に胸が膨らみ、
長い階段の疲れも忘れて駆け上がる!!

05:56
到着した祭りの会場!
村の人口の倍近くの人でごった返している。
素朴な田舎の昼間のお祭り。
境内には露天がぎっしり。
綿飴。りんご飴。たこやき。たいやき。輪投げ。的あて・・・。
祭りだ、祭りだ、祭りだ!

06:20
祭りのじっくり堪能し、祭りの喧騒からちょっと外れた
隅っこで座りながら優雅にたこ焼きを食べながら一息つく。
う~~ん至福の時。

07:45
再び露天巡りだ。
祭りを楽しむ心は最高潮を迎え、
高らかに幕を閉じる。

この曲を聞いているとそんなイメージが目に浮かぶ。

もしBGMとして使うならば

日本情緒溢れる美しくも楽しい曲になっているので、
日本の風景や日本の伝統行事とかにピッタリだ。
特にお花見にはピッタリ。第1楽章は花見会場のテーマ、第2楽章はほろ酔いのテーマ。第3楽章は余興のテーマ。第4楽章は、桜吹雪のテーマといった具合に。和洋折衷的な優雅さと洒落た雰囲気を楽しむことができます。

他にも
ひな祭り・子供の日、縁日、お祭りのとき。
追いかけっこするとき。
下町人情を出すとき。
活気が溢れているとき。
コミカルさを演出するとき。
風が強く、桜吹雪や紅葉吹雪がおきているとき。
明治や大正浪曼といったレトロな和洋折衷感をだすとき。
日本的ノスタルジックを堪能するとき。
ちょっと気持ちよすぎて気だるくなるお昼時やお酒でほろ酔いするときなどなど・・・。

こういった場面にこの音楽はあいそうだ。

 

お奨め

演奏は小松一彦指揮、東京都交響楽団1990年演奏(CD貴志康一 生誕80周年記念コンサート)がお奨めです。
また、歴史的価値という意味で、なんと貴志本人が指揮演奏をしている1936年のもあります。
SPレコード録音のため、雑音はあるけど空気を感じるという意味ならいいかもしれません。

この曲が気にったならば

同じ貴志の作品からなら

「ヴァイオリン協奏曲」
「日本組曲」

がお奨めです。

また日本的・東洋的なオーケストラという視点からなら、

早坂文雄の「ピアノ協奏曲第2楽章」
橋本國彦の
バレエ音楽「天女の漁夫」
「交響曲第1版ニ調」

とかもいいですよ~~。

どうぞ、美しい和洋折衷感のある大正浪曼曲をお楽しみあれぃ!

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「世界を痛快一変する」こと信条に企てを実行するKAIDENDOの創始者。 強みは、人と組織の持つ世界観を芸術化できること。 その強みを活かし、人や組織の持つ理念を芸術可視化するサービス「RINE」運営。 現在は、ライフログサービスYATAABA開発中。

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